「中村敏雄先生お別れの会」のご案内...
「そんなことしなくていいよ」…いつもシャイだった中村さんが照れ隠しのように振り向きながらこう言われるかもしれません。でも、私たちは中村さんのことを語り合いたいと思います。
2011年3月25日、中村敏雄先生がご逝去されました。満82歳になられたばかりのことでした(3月20日生まれ)。ご親族の意向でお身内だけで通夜と葬儀はすでに済まされています。静かな、心のこもった葬儀でした。その折、日を改めて「お別れの会」を持つことを計画し、ご親族に相談したところ快く了解していただきました。そこで、私たち7人が呼びかけ人となって「お別れの会」を企画しました。ゆかりの方々にご参集いただき、みんなで中村さんのことを語り合いたいと思います。
中村さんは1929年愛媛県松山で生まれ、香川県高松中学(旧制)から、東京高等師範学校体育科入学、学制改革に伴い東京教育大学体育学部体育学科に進学されました。卒業後、東京商船大学、東京教育大学附属高校、山口大学、広島大学で40年にわたって教育と研究に取り組まれてきました。この間、多くの生徒・学生・院生を育てられました。また、在野での実践・研究を貫き、民間教育研究運動のリーダーとして、現場教師と研究者を鍛え上げてこられました。私たちは、高校生として、学生・院生として、中村さんのこのような生き方から多くのことを学びました。さらに、教師・研究者としても、実践と研究に打ち込まれている真摯でひたむきな「姿」から、計り知れないほど多くの感銘を受けました。また、退職後は『現代スポーツ評論』の主幹として、スポーツ研究に打ち込まれ、ジャーナリストにも多大な影響を与えてこられました。
中村さんの研究は、日本の体育学・スポーツ学研究の大きな「峰」となるものです。 第1の「峰」は「体育は何を教える教科か」について自問自答を核とする体育科教育学研究の成果です。ご自身の実践や民間教育研究運動の実践に依拠して、「運動文化に関する科学を教えること」が体育という教科の存立根拠である点に立脚して多くの実践・研究を残されました。 第2の「峰」は教科の背後にあるスポーツの文化論研究です。ここでは「スポーツルール学」研究に代表されるように、スポーツの社会科学的研究の基本フレームと研究方法の確立に全力投球され、「中村スポーツ学」というべきオリジナルな世界を築き上げてこられました。50年後、100年後にこれらの分野の研究史を綴るとき、中村さんの仕事は学説史上の画期をなすものとして位置づけられるでしょう。
中村さんから学ばなければならないことは山ほどあります。ご遺志を引き継ぎ、体育科教育学やスポーツ文化研究を一層深めることが、先生の思いに少しでも応えることになります。「お別れの会」にご参集いただければ幸いです。中村さんが、きっと私たちに新しい力を与えてくれるはずです。
中村敏雄先生「お別れの会」呼びかけ人
代表 出原泰明(元名古屋大学教授、「中村敏雄著作集」編者) (*以下順不同)
友添秀則(早稲田大学スポーツ科学学術院教授、「現代スポーツ評論」編集委員)
森 敏生(武蔵野美術大学教授、学校体育研究同志会委員長)
清水 諭(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授、「現代スポーツ評論」編集委員)
二谷貞夫(元上越教育大学教授、東京教育大学附属高校での同僚)
原 英喜(國學院大學人間開発学部教授、東京教育大学附属高校79回卒業生)
鴨門義夫(創文企画)
「お別れの会」開催要項
参加の申込
参加いただける方は、6月3日(金)までに、下記の事務局まで(または学校体育研究同志会、附属高校同窓会などの担当者まで)、FAX、メールで、参加のご連絡をお願いします。その際、「氏名」「連絡先(住所)」「第一部だけ、または第二部まで、参加希望」を明らかにしてご連絡ください(FAX、メールでのご連絡の場合、「件名」に必ず「お別れの会」を記してください)。
※参加申込期限が過ぎてから、参加を希望される方は、「第一部のみ」参加でしたら6月25日(水)まで事務局にて受け付けますが、できるだけ上記期限内にご連絡いただけますようお願いします。
※当日は季節柄、暑さが予想されます。平服(軽装)でご参加ください。